オリジナルの小説を書いてます。 【Offbeatscore】連載中です。
「どうもー、こんにちは。君が伊織のデートの相手?」
「デっ…! なっ、何を言ってる! デートじゃないって昨日あれほど…」
「はいはい。いやー、君可愛いね。名前は? 因みに僕は時津風 芹。時間の時に津々浦々の津。それから風ね。それで時津風。芹は植物の芹だよ」
 にこっと笑ったその人は、何だか雑誌に載っているモデルさんのように見えた。先生より、少し背が低い。とはいえ、私より遥かに高いけど。
「力士みたいな名字でしょ? 嫌いじゃないけど、できれば僕の事は芹って呼んでね」
「はぁ……」
「セリ!」
 先生がそう叫ぶと、芹さんは先生の肩をポンポンと叩く。
「はいはい、待ってね。まだ、名前聞いていないんだから。で、お名前は?」
「…え、ええと、九網 獅狩といいます」
 説明するのが少し面倒だったので鞄からメモ帳を取り出して、そこにペンで書いたものを見せた。
「ふむふむ。変わった名前だね…って僕もか。よろしくね獅狩ちゃん」
「はぁ…よろしくお願いします」
 にこにこと笑っている芹さんの横で、先生は深いため息をついていた。
「さて話を戻そうか。ねぇ、獅狩ちゃん」
「…は?」
「伊織を何て呼ぶか…っていう話」
「あ、ああ。はい」
「さっきも言ったけど、イオたんって可愛いと思わない?」
「……イオたん…ですか」
「そうそう」
「や、やめてくれ! 頼むから!」
 先生が慌てたように芹さんの腕を掴む。
「何だよ、贅沢な奴だな。こんなに可愛い女の子から呼ばれるなら、何て呼ばれようが構わないじゃないか、ね、獅狩ちゃん」
 可愛いと言われて嬉しくないわけはないけれど、何だか真実味に欠ける言葉のような気がする。
「……芹さんって、もしかして皆にそう言ってません?」
「ええ!? そんなこと無いよ」
「そんなことあるだろうが」
「可愛い子に可愛いって言って何が悪い?」
 悪くはないですが……ねぇ…。言い過ぎは…ちょっと。
 私も先生も、無言。
「その話は置いておいて…」
 置いておくんですか…芹さん…。


36へつづく

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