「そう? 別にいいよ」
「獅狩」
「だって、前の学校でも友達一人しか居なかったし」
「でも」
都雅があまりに青い顔をしているので、私は驚いた。
「ねぇ、都雅」
「うん?」
「私は、私が決めた事を変更しないの。だから、たとえ西から太陽がのぼっても、空から槍が降ってきても。私の考えは変わらない。世界が変わっても、私は変えられない」
都雅はようやく笑った。
冗談半分だと思ったのかもしれないけど。
でも、私は真剣だった。
「ほら、いつも保護者がいるみたいで、先生達には悪いけど…ねえ。羽根をのばしたいでしょう?」
都雅がようやく離してくれた手を、広げて言うと都雅はキラキラした笑顔を見せてくれた。
「獅狩は鳥になりたいんだ?」
「この世に本当の自由なんて無いかもしれないけど」
「自由…ね」
「うん…。でも、これ、実はお爺ちゃんの受け売り」
「……そうなんだ?」
「うん。だって自由そのものが良く分かっていないじゃない? だから本当の自由なんて、もっと分かってないと思うし」
「そうだね」
「自由どころか、何も分かってないんだもん」
「うん、俺も…何も分かっていない」
二人で笑い合った時、部屋のドアをノックする音が二回。
52へつづく


