「平気、どこも怪我してないから」
「制服が、汚れてるよ」
「うん、自転車ごと倒れたから。あ!ねぇ、一緒に自転車取りに行ってくれる?」
「それは…いいけど」
「ありがとう」
都雅と一緒に来た道を引き返す。
自転車が倒れている場所には誰も居らず、前に付いているカゴがすこし曲がっているのが見えた。
「あーあ。これ、直るかな…」
「………獅狩……」
「制服も、洗濯しなくちゃ」
「どうして、防犯ベルならさなかったの」
「え? だって」
「だってじゃない」
都雅は自転車を立て直した後、靴を拾ってくれた。でも靴は持ったまま、私の方に背を向ける。
「何?」
「何?じゃないでしょ。ほら、乗って」
「乗ってって……都雅の背中に?」
「背負っていくから」
「え、でも」
「そのまま履いたら、靴まで汚れるよ」
「それはそうだけど」
靴下脱げばいいんじゃないかな…とも思ったけど。すこし水が染みてきているし。
「えっと、自転車に乗るから大丈夫」
「自転車は壊れているよ」
「で、でも。恥ずかしいし…」
57へつづく


