「都雅!」
現れたのは軽トラックに乗った先生と、見知らぬおじさん。それからバイクに乗ってきた芹さんだった。
おじさんは芹さんの知り合いの方で、自転車屋さんをしているんだって。
軽トラックの荷台に自転車を載せて、おじさんは笑顔をみせつつお店に戻っていった。
芹さんがバイクから下りて、ヘルメットを脱いだ。
「さて、獅狩ちゃん。怪我はない?」
「制服が汚れただけです」
「そう…それならクリーニングに出さないとね。うち、来て着替えなよ」
「……はぁ?」
芹さんの横で、先生が「あぁ…」と頷いたので、先生の方を向くとオリーブ先生はにっこりと微笑んだ。
「芹には妹がいるんだ。だから、服を貸してもらうといい」
「あ、そうなんですか? でも…」
「クリーニング店にも心当たりがあるから、心配しないで。明日の朝までには仕上げてもらうから」
「は、はぁ…」
都雅に背負われたまま、私は芹さんの家に行くことになってしまった。
歩けるって何度も言ったのに…。
「近くだから」
とだけ言って、後は都雅からの返事はなし。
芹さんは先に行って妹さんに話をするというので、都雅と背負われた私と、それから先生とで歩いて行く。
都雅の無言が怖かったので、芹さんの家に着くまでずっと先生と話をしながら気を紛らわせつつ。
ようやくたどり着いた家は、外観だけでも充分、内情を窺える景観だった。
かなりお金持ちだろうなぁ、これ。
りっぱな門なんかついてるし。
都雅の家はどちらかと言うと、日本的だけど。芹さんの家はハッキリ言って、洋館と言ったほうが似合う。
壁にツタなんか絡んじゃってる。
うわぁ……。なんて感じで、あんぐり家を眺めていると芹さんが玄関から出てきた。
59へつづく


