「ええ? オリーブ先生の?」
思わず言ってしまうと、柚はクスッと笑った。芹さんからオリーブっていうあだ名聞いたことあるのかな。
「とても優秀な方だったんですって。伊武さんは、まさか八潮路さんと付き合ってしまうとは思わなかったんでしょう」
それはそうよね。だって相手は中学生の男の子だもん。
「でも、伊武さんはちょっと考えが浅いですわ。八潮路さんはその当時、中等部一年とはいえ大人びて見えたのですから。それに今のような態度、雰囲気、さらに仕草。どれをとっても素敵でしょう」
「そうなの? 私にはいまいちピンと来ないけど」
「……まぁ……。お友達という意味が分かりましたわ……。と、とにかく。その一ヵ月後には御付き合いが始まっていたそうです。もちろん、モーションをかけたのは笹峰さんの方ですけど」
「へー、それから?」
「それから、クリスマスに別れたそうです」
「…………それから?」
「………それだけです」
がくっ。
「何で別れたの?」
「そこまでは知りませんけれど、でも一つだけ言える事は」
「はい?」
「その笹峰さんですら、背負われた事はないって事です」
「……はぁ?」
さっきから私が都雅に背負われたことばかり言ってるけど、それがどうしたというのだろう。
「不思議そうな顔をしていますのね。八潮路さんの事、他の方から聞きませんでしたの?」
「聞いたけど」
「大抵は係わるなといわれませんでした?」
「うん、そうね」
68へつづく


