はぁ…。
お母さんには悪いけど、桜子さんや真鶴さんを親に持つ柚や、都雅がうらやましいなぁ。
あ、もちろん。うちのお母さんだってヘタって言うわけじゃないのよ。
うん。でも、何が違うのか分からないけど、美味しいのよね〜。
「獅狩、顔がにやけてるよ」
「だって、美味しいんだもん」
「お、嬉しい事言ってくれんじゃないか。もっと食えよ」
桜子さんがハハハと笑って、切り分けたハンバーグを私のお皿に盛ってくれる。
「有難う御座います」
「なぁに、いいのさ。柚も芹も少食のうえにお上品に食べるもんだから、つまらないったらありゃしない。食事ってのは、こう、もっと美味しそうに食べるもんだろうが」
柚と芹さんは苦笑している。
「2人とも、獅狩のように食べてくれれば作りがいがあるんだけどな」
会って間もなくで、呼び捨てにされたけど。ちっとも嫌な感じじゃなかった。
お母さんっていうより、御姉さんって感じ? 姉御かな?
「いつも、美味しく頂いておりますわ。桜子さん」
柚がようやくお皿に盛られていたハンバーグを食べ終えてから、そう言った。
「いつもは和食が多いけど、今日は洋食なんですね」
オリーブ先生がそう言うと、桜子さんは「はぁ…」と溜め息をついて笑う。
「いや〜、どっちも好きだけどさ。ほら、あいつが居る時はほとんど和食だから、居ない時ぐらい洋食でもいいじゃないか」
「あいつ?」
私が手を止めて桜子さんを見ると、桜子さんはにっと微笑んで見せた。
「ほれ、そこの写真に写ってるのが、うちの旦那だよ」
壁に掛かっている写真の中に結婚式の写真があって、そこに桜子さんと旦那さんが写っていた。
つづく


