オリジナルの小説を書いてます。 【Offbeatscore】連載中です。
「……え…マジ?」
 都雅と勇気は真面目な顔で頷いた。
「引っ越ししてきた…とか?」
「要くんは生まれも育ちもここだって聞いてるけど」
 唖然としている俺を見て、都雅は地図を閉じて鞄にしまう。
「本当に覚えてないんだな…」
「ちょっと待て…なら、なんで都雅も勇気もコート着てないんだよ」
「今日はいつもより温かいんだよ?」
 温かいという言葉に驚いて、俺は身震いする。
「これで?」
「昨日は平年的気温だったからコート着てたよ。でも、今日は三月下旬くらいの気温だって、天気予報で言ってた」
 この寒さで三月の気温?
「明日から天気が崩れるって言ってたから、また寒くなるよ」
「かぁーっ!…何でお袋はコートくれなかったんだよっ…」
 都雅は俺の様子に、シニカルに笑った。
「車で送るつもりだったからだろ」
「うわーっ…失敗したっ」
 後悔先に立たず…。
「勇気も都雅も、寒さを我慢してるのかと思ってたのに…」
「いくらオレでも、寒かったらコート着るよ」
 何でだか分からないけど…なんとなく敗北感。
 同じ日本なのに、何なんだこの気温差は!
「箱柳くんの車に誘われた時、乗っていれば良かったのに」
 勇気がそう言ったので、俺はむっとして早足で歩き出した。
「要くん! 怒ったの?」
「当たり前だろ。あんな奴の車、猛吹雪の日だって乗るもんか」
 都雅と勇気が後ろから付いて来る。振り返ると二人は並んで歩いていた。箱柳と俺のやりとりを、勇気が都雅に説明している。何だ、もう慣れたのか。
「以前の要くんなら乗ってたよね」
 などと言うので、勇気の首に腕を回して力を入れた。
「わっ! 苦っ苦しい…っ」
「変なこと言うからだっ」
 力を抜いて腕を解くと、勇気は都雅の後ろに隠れた。
「本当なんだってば…前の要くんはそうだったんだよぅ」
 泣きそうになりながら勇気は反論する(ただし都雅の後ろに隠れたまま)。
「そうなのか?」
 都雅に聞くと、黙って頷いた。         
「仲がいい…という訳じゃないけど、いつも同じグループにいた…というか、いるようにしてた…かな」
「ふうん…何で?」
 都雅は後ろに隠れている勇気を自分の前に引っ張って来て、両肩をポンと軽く叩く。
「えっ、えーっ僕が言うのーっ?」
 俺は両手を腰に当てて勇気の言葉を待っていたが、あまりの寒さにくしゃみが出てしまった。
「はっ…くしゅんっ…うー、寒い」
「と、兎に角。中に入ろうよ、ね、ね?」
「うう…仕方ない」


 つづく 
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